*197年*さらば、龍よ
念願のエルネア杯にて
悲願の優勝を勝ち取りました!!
バグウェルが大きく息を吐き、戦闘態勢を解きます。
そして辺りが眩い光に包まれたかと思うと、まるで龍の逆鱗の形をした紅いものがトレニアの前にゆっくりと降りてきました。
龍族の秘宝ーーードラゴン・ドロップ。
初めて手にしたそれは、思わず目を見張るほどの鮮やかさ。それでいて控えめな艶やかさと煌やかさでトレニアは魅了されます。
ふと手のひらに感じた鼓動のようなものは、果たして何だったのでしょうか・・・?
バグウェルが笑みを浮かべました。
つられてトレニアも笑んでしまいます。
龍と人の間に流れた不思議な穏やかな空気は、競い合い、認め合った者同士であるがゆえの特別なものであるに違いありません。
降り注がれる喝采の中でも王様からの言葉はしっかりと闘技場に響き、トレニアへも届くのでした。
トレニア「伝統ある称号、ありがたく拝領致します」
王より賜ったのは『龍騎士』の称号および龍騎士の武器『龍騎士の剣』と鎧 、スキル。
また賞金1万ビーに加え、国内全てのダンジョンへの探索権まで!
アンセルム王が視線をトレニアから龍バグウェルへと移し、一呼吸を置いた後、静かに語りかけます。
バグウェル「しかと見届けた」
緑の巨体の背中に広がる大きな翼が揺れる。
バグウェル「ではまた4年後を楽しみにしておこう」
ひとたび強く羽ばたいたバグウェルの姿は瞬く間に上空の彼方へ。
ーーーエルネア王国の空に差す夕焼け色が、今日はやけに綺麗。
国民全員が見上げるその先に消えた龍にトレニアはもう一度微笑むと、4年後の再会を心に誓うのでした。
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