*203年*ずっと幸せ。もっと幸せ。
アンドレス「ここでの告白の事、覚えてる?」
生き生きとした緑と鮮やかな花々に彩られたこの地に二人で来ると胸が躍ります。
互いの想いを伝え合ったあの日から、時間はさほど経過していません。
ーー振り返って思うことはただ一つ。こうして恋人関係に至るまでに随分と不毛な時を要したということ。
キクにとってのアンドレスという存在は元々、単なる”仲良しの同級生”という位置付けでした。
タイプかどうかを問われるとお世辞にも好みのタイプとは言えず・・・w
そのため、恋愛対象としては全く考えてもいなかったのです。
でも、不思議と気になる存在だったのも確かで。
自由気ままな謎の男ーーその不可解さが、キクを惹きつけていたのかもしれません。
紆余曲折を経て、今となっては。
キク「気持ちが通じ合ってるのが分かって嬉しかったなぁ・・・」
心の中での呟きが、つい言葉となって唇から零れました。
ハッとし、一気に恥ずかしくなってアンドレスから顔を背けます。
そんなキクに視線を移したアンドレスはいつもの無表情。
その、しれっとした様子が余計に気まずさを助長させて、自分だけが舞い上がっているーーそんな立場のなさに、キクは今すぐにでもこの場から消え去りたい気持ちでいっぱいになりました。
頭のてっぺんから蒸気が噴き出しそうなほど真っ赤に顔を火照らせるキクを、空色の瞳に取り込んでしまいそうにアンドレスは見つめ続けます。
実のところ。未だに現実感が乏しくて。
キクとこうして恋人関係になることを想像していませんでした。
自らの想いの成就ーーそれを願うことをしてこなかったからです。
アンドレスの焦点はずっと、キクを好きだと想うこの気持ち・・・自らの心の中にあるものにしか向いていなかったのでした。
脳裏に蘇ります。
些細な切り傷なんてなんのその、茂みの中から虫を握って出てきた姿。
服を真っ黒に汚して作った泥団子を、意気揚々と友人にあげていた姿。
大好きなラダにじゃれつき藁まみれになって遊んでいた姿。
思い返せばキリがない、幼き頃のせわしない彼女。
溢れる記憶のそこに自分も一応いるけれど、少し離れたところが定位置の常。
だから、遠巻きに見る横顔の笑顔しか知らない。
それでも淋しくはなかった子供時代。
アンドレスにとって、それがキクとの普通の距離感だったのです。
彼女のことを見つけるといつも目で追っていたあの頃・・・不満がなかったのは、それが当時なりの最高の幸せだったから。
ためらうことなく言い切ったアンドレスに、キクの顔は更に真っ赤に茹で上がりました。
ずっと昔に囚われて、でも隣にいるにはまだ当たり前でない彼女。
こうして並んで共に時を過ごすことに不慣れな分、”今”を噛みしめる。
(^^)(^^)(^^)読者様募集中(^^)(^^)(^^)
今回はモノローグ風にまとめてみました。 想像・・・いや、妄想なんですけどね!w
そしてご登録下さいました新たな読者様、心より感謝申し上げます♪